北アルプスを望む天空の棚田で、自然栽培(無肥料無農薬)でお米、大豆などを栽培、販売しています。

2021年4月18日日曜日

お醤油搾り

 

先日、約一年前に醤油仲間と仕込んだ醤油のもろみを、搾り師さんに来てもらってお醤油に絞ってもらいました。

もろみは当農園で収穫した自然栽培の大豆・小麦を原料に醤油麹を起こしたものに塩と水を加えて仕込み、その後仲間と交代で天地返しをしながらお世話してきたものです。

https://yorokobutsuchi.blogspot.com/2020/03/blog-post.html

先ずは大釜でお湯を沸かして、そのお湯でもろみを溶いていきます。

もろみの出来の良し悪しで加えるお湯の量を加減する必要があるとのこと。

搾り師さんから良いもろみになりましたねとのお言葉をいただきホッとしました。

お湯で溶いたもろみを木製の「フネ」という道具で搾っていきます。

お醤油が出てきました!

この搾りたてのお醤油が香り高くて何とも言えずに美味しいのです。

自然栽培で大豆と小麦を育てるところから、醤油麹を起こし、もろみの仕込みを経て微生物たちの助けを借りてこうしてお醤油になって出てくるというのはとても感動的です。

搾ったお醤油は一度90℃近くまで加熱(火入れ)して不純物であるオリを分離し易くして、
容器に移して約1週間ほど静置してオリが沈むのを待ちます。
1週間後、オリが沈んだ頃に瓶詰をします。
大豆1斗(13㎏)、小麦1斗(14㎏)のもろみから一升瓶で約30本のお醤油が取れました。
仲間4人で分けて一人7本半(オリが混ざった分も含む)のお醤油です。
今年はもろみの仕込みをしなかった関係で来年の醤油搾りはないので、2年分の醤油になりますが、去年搾ったお醤油もまだ残っているし十分な量ではないでしょうか。
味噌と醤油という基本的で本物の調味料が十分にあるというのはとても豊かで安心感があります。
味噌と醤油という素晴らしい発酵食品を残してくれた先人たちに感謝です。
このお醤油は今のところ販売する予定はないのですが、よろこぶつち農園に援農に来て下さった方は、もれなく味見できます~。
美味しいよ。


2021年4月14日水曜日

種蒔きに向けて種籾の塩水選と温湯消毒、菌やウィルス・病気について

 田んぼ仕事の第2弾、お米の種蒔きに向けて種籾の選別と温湯消毒をしました。
先ずは昨年秋に種取した種籾を、古い餅つき機を使って籾についているノギや軸を取り除き、
(ノギや軸があると種蒔きの時にうまく蒔けないため)
それを米選機(2.2㎜の網)に通して小粒な籾を落として大粒のものを選びます。
さらに濃い塩水で浮いた籾を除去して沈んだ重くて充実した籾を選別します(塩水選)。
20%以上の濃い塩水なのでかなりの塩を使います。
今回は40ℓの水に対して約9㎏の塩を使いました。
塩水選を終えたら直ぐに、あらかじめ60℃に沸かしておいたお風呂に7~8分浸して温湯消毒します。
60℃のお湯は手を入れていられないほどの熱さで大丈夫かなと不安になるほど。
温湯消毒をすることで農薬を使わずに種籾由来の病気を防ぐことができるのですが、時間や温度が足りないと十分な殺菌効果が得られず、過ぎれば種籾が煮えて発芽不良を起こしてしまう恐れもあり、時計と温度計とにらめっこしながらかなりの緊張感です。
慣行農法では一般的に農薬を使って種子消毒をします。
最後は冷水に浸して無事に終了です。
このまま種蒔きまで約1週間ほど時々水を換えながら浸しておきます。

昨今のコロナウィルスの感染拡大のこともあって、人とお米という違いはあるものの、菌やウィルス・病気というものにどう向き合うのかという難しい命題についていろいろと考えさせられます。
菌やウィルスは自然界に常に無数に存在するもので、自然界はそのバランスの上に成り立っていて、お米も人間もその中で生かされているとも言えます。。
でも、何らかのバランスが崩れた時に特定の菌やウィルスが病気という形で問題になってくる存在になるわけですが、自然栽培を志す者としては農薬で排除したり殺菌することで対処するのではなく、稲が本来持つ生命力が最大限発揮され健康な稲に育つよう環境(バランス)を整えることに主眼を置きます。
それでも、いつもそれが完璧にできる訳ではないですし、特に天候不順など悪条件が重なれば病気が出てしまうこともあります。
昨年は7月の長雨で一部の田んぼでいもち病が発生し、あれこれ対症療法(もちろん農薬を使わないという前提ですが)に奔走しました。
今回の種籾の温湯消毒も農薬は使わないものの、殺菌という手段を使っていますね。
基本や理念を大事にしつつも一筋縄ではいかない難しい命題です。

人間と病気の関係も基本的には、問題となる菌やウィルスを過剰に恐れて身の回りを殺菌消毒をしまくる方向よりは、私たちの身の回りや体内の菌やウィルスの助けを借りながら、私たち自身の免疫力・生命力を高めることにフォーカスして対処していく方がより良い方向だと思います。
でも一方で、誰もがいつもそれを完璧にできる訳ではありませんし、高齢の方や持病を抱える方などなかなかそれが難しい方もいます。
また気になるのは、ブラジルアマゾンの熱帯林で伝統的な暮らしを守る先住民部族の間でも、今回新型コロナの感染が拡大し多くの犠牲者が出ているという報道があります。
彼らは1970年代にも白人が持ち込んだ感染症で大きな被害を受けたという過去もあるようです。
さらに過去をさかのぼれば、1500年代にスペイン・ポルトガルの征服者たちが持ち込んだ感染症でインカ・アステカなどなどの中南米の先住民たちは壊滅的な被害を受けた歴史があります。
たとえ文明と離れその土地の自然、菌やウィルスと調和した暮らしをしていても、これまで接したことのない未知の菌やウィルスに対して人体は短期的にはなす術を持たないのかもしれません。
長期的に見ればやがては耐性を獲得していくことになるのでしょうが、多くの犠牲を伴ってしまうことになります…。
なかなか一筋縄では答えの出ない難しい命題だなと思います。








2021年4月7日水曜日

春の到来!田んぼ仕事始まりました。

 

このところの暖かさで信州の山里にも一斉に春がやって来ました。

春の遅い信州の山里では今梅が満開でようやく散り始め。


同時に山桜や近所の高遠桜が満開になり、ソメイヨシノや枝垂桜も咲き始めました。
例年よりもかなり早いです。
こちらは山に咲くコブシ。
水仙
レンギョウ
スペルト小麦も青々として上へ上へと伸び始めています。
数日前からは寒の戻りで朝は霜が降りるほどの冷え込みになり、日中も肌寒い気候に。
でもこれが本来の4月の気候ですね。
そして、いよいよ今年の田んぼ仕事が始まりました。
先ずは冬眠していた田んぼをトラクターで春起こしすることからスタートです。
今年は昨年秋に秋起こしをすることが出来たので、どのような変化が出てくるのか楽しみです。