北アルプスを望む天空の棚田で、自然栽培(無肥料無農薬)でお米、大豆などを栽培、販売しています。

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2019年9月4日水曜日

秋の訪れと冬支度。

お盆以降、雨や曇りメインの天気が続いています。
気温もあまり上がらず 一気に涼しくなりました。
あれだけ暑かったのが嘘のようです。
たまに晴れると暑くはなるのですが、朝晩はとても涼しいです。
本当に暑かったのは7月末~お盆までの実質20日間ほど、信州の夏は短いですね。
写真は久しぶりの晴れ間の田んぼの様子。
ササニシキは今のところ順調で、穂が垂れてきて少しづつ色付いてきました。
まだ間断灌水で水管理をしていますが、もう少ししたら田んぼの水を落とし、稲刈りに向けて準備を始める予定です。
稲刈りは1か月後の9月末から10月初旬を予定しています。
台風の被害などなく天候が順調でありますように。
稲刈りの援農お手伝い大歓迎です!
大豆畑では花の季節が終わり、大豆の赤ちゃんである小さな莢が付いています。
が、大問題が発生!
上の方の葉が無いのが分かりますでしょうか?
どうやら鹿に侵入されて食べられてしまったようです。
今のところまだ上の方の葉だけなので大丈夫ですが、この先被害が拡大し下の方まで食べられてしまうと大変なことに…。
地域の田畑全体を共同で電柵で囲っているのですが、どこからか、たぶん電柵が低くなっている所を飛び越えて入ったようです。
あわてて電柵の低くなっている部分を補修して回りましたが、囲っている面積が広いので全部はカバーできず…。
鹿さん、お願いだからこれ以上入らないで。
そして涼しくなってきて慌てて薪割り、冬支度しています。
冬の厳しい当地で古民家で冬を越すには薪が欠かせません。
本来ならもう少し早く、春くらいまでに割って乾かしておかないといけないのですが、春以降は農作業が忙しくてついついこの時期になってしまいます。
去年も同じことを言っていたような…(笑)。
なんとか冬までに乾いてくれますように。
でも、薪が薪小屋に積み上がった光景は本当に豊かな気持ちになります。
生きるために必要なもの、もちろんお金も必要ですが、米と野菜と薪が1年分しっかりとあるということも本当に安心感につながるなあと思います。
(野菜はなかなか実現できていませんが…。)
冬の終わり頃になってまだ寒いのに薪が無くなるというのは本当に切ないので、そうならないように薪割りもう少し頑張ります。

2019年7月20日土曜日

長梅雨と田んぼの手取り除草、そして選挙のこと。

雨と曇りばかりの天気が続いています。
梅雨らしいと言えば梅雨らしいのですが、日照時間が少なく気温もあまり上がらない日が多く、空梅雨でひたすら暑かった去年の梅雨とは全く真逆の天気です。
稲の生育も全体にゆっくりで、田んぼによっては大丈夫かな?と気をもむ田んぼもあるのですが、全体としては何とか追い付いてきています。
田植え後約1か月間、6月はほぼ7~10日おきに除草機を入れて除草作業をしてきました。
除草機だけでうまく草が抑えられた部分もあるのですが、写真のように株元の草が残ってしまいその草が大きくなってしまった部分がかなり出てしまいました。
こうなってしまうともう機械では取れないので、最後は必殺、「手」で取るしかありません(涙)。
初めは部分的に拾うくらいかなと思って油断していたのですが、やり始めたら予想以上にあるある!
覚悟を決めて、7月は10枚の田んぼを一通り回ってひたすら残ってしまった草を手で取って回りました。
腰をかがめての草取り作業は辛い作業、この作業をやりたくないがために色々と工夫をしたり機械を入れたりしているのですが、結局今年もやるはめになってしまいました。
でも例年に比べれば除草機で抑えられた部分も多かったので、今までよりは楽になったかな?
手取り除草することで間近で稲と対話したり、田んぼの生き物たちと出会うことが出来るので辛いばかりではないのですが、やっぱり来年こそは手取り除草をしなくても済むようにしたい…。
手取り除草を終えた先日、久しぶりに晴れて気温も上がり稲たちも喜んでいるようでした。
あとは水管理をしながら生育を見守るだけ。
本当はこの時期に水を落として中干しをやると色々な意味で良いのですが、生育が遅れ気味な田んぼが多いため、間断灌水で少し水を落とす程度に留めておこうかと思います。
翌日は再び雨降りの天気に逆戻り、早く梅雨が明けて暑くなってほしいものです。
冷夏なんてことになりませんように(祈)。
今年は日照不足で自給野菜の生育もゆっくりです。
キュウリがようやくなり始め、初物をいただきました。
八町キュウリという地元の在来種で、瑞々しくてしかも甘みがあって本当に美味しいです。
忙しい時期と重なってしまうのでここ何年も梅干しを漬けることが出来なかったのですが、今年は田んぼの除草が少し早く終わったので知人と一緒に近所の梅を採らせていただいて漬けてみました。
梅の良い香りがなんとも言えません。
美味しい梅干しになりますように。

ところで明日は参議院選挙の投票日。
私が自然栽培での農業を志したのは、自分の足元から少しづつでも世の中を良くしていきたいという思いからの部分が大きいのですが、やはり政治が変わらないと変わらない部分が大きいなと思わされることが多いです。
震災の後に原発の問題で立ち上がって声を上げてくれた山本太郎、気持ちが真っ直ぐな余り空回りしてあつれきを生むことも度々あるのですが、私たち一人一人の命を何よりも大事にするという点でブレない応援したい政治家の一人です。
今回、消費税廃止と格差の是正をメインに訴えて「れいわ新選組」という政治団体を旗揚げして立ち上がってくれました。
ネット上ではかなり話題で街宣にも多くの聴衆がつめかけているようなのですが、既存メディアがほとんど取り上げないためまだまだ全体では認知されていないようです。
よろしければリンクの動画を一度見ていただければ幸いです。
https://v.reiwa-shinsengumi.com/activity/851/

世の中の問題の多くはお金の問題に突き当たることが多いのですが、今回れいわ新選組から立候補している大西つねきさんという方、もともと金融のプロの方なのですがとても興味深いことを訴えています。
https://www.youtube.com/watch?v=ixH5ylEx-2A&list=WL&index=17&t=2467s
長い動画なのですが、目からうろこなのでお時間ある時に是非見て頂きたいなと思います。
現在のお金の発行や税金の仕組みを解き明かし、私たちが何となく思い込まされている、日本は借金大国で財政が厳しいから、あるいは社会福祉の財源が必要だから消費税は必要だということがいかに大嘘かということがよく分かります。
そのうえで、持続可能な社会のためにお金の発行の仕組みや税金の在り方を変えていこうということを提言されています。

報道ではまたまた与党が優勢とのことですが、より良い未来のために意思表示をしてこようと思います。
未来に希望の持てる選挙になりますように。

2019年4月2日火曜日

春は足踏み、味噌作りのシーズン


このところ春が足踏みしているようです。
冬のように寒い日が多く、雪が降ってうっすらとではありますが積もることも度々です。
本来この時期は「三寒四温」という言葉があるように、寒い日と暖かい日を繰り返しながら徐々に暖かくなっていく頃なのですが、暖かい日よりも寒い日の方が多いですね。

梅の花が咲いたものの、そのまま止まっています。
水仙はやっとつぼみが膨らみかけ、桜はまだまだ咲きそうにありません。
4月に入り、そろそろ田んぼ仕事も始まるのに…。
お~い、春よ来~い。

そんな寒い3月後半は麹作りと味噌の仕込みの日々でした。

お米を蒸かして麹を仕込み、
3日間お子守をしてふわふわの麹が出来上がり。
木製の麹蓋と室を使って作るようになってある程度安定してできるようになりましたが、温度管理ははやり気が抜けません。

出来上がった麹と大豆でみんなで味噌作り。


皆さん、潰しただけの大豆の美味しさにびっくりされます。
我が家の麹と大豆が多くの人たちの元へと旅立って行きました。
それぞれのお宅で美味しいお味噌になりますように。
新しい出会いもあり、お味噌を通じて多くの人たちと繋がることが出来てありがたいことだなと思います。


2019年2月25日月曜日

残雪の山里で鹿・猪を追う

この冬は比較的雪が少なく、このところの暖かさでその少ない雪もかなり溶けてきました。
でも、少し標高の高い所や日蔭はまだまだ雪が残っています。
昨年に続き、猟友会の方達から声をかけていただいて、そんな残雪の里山で鹿・猪の「巻き狩り」(追い込み猟)に勢子として参加しました。
「巻き狩り」とは、勢子が「ホーイ、ホーイ」と大きな声をあげたりロケット花火を鳴らしたりしながら、鹿・猪を一方向に追い込み、待ち伏せていたハンターが銃で撃つというスタイルの猟。
当地のような中山間地は鹿・猪による農作物への被害がひどく、数を減らす目的のために行われています。
残雪の里山を一日中大声をあげながら歩くのは冬の間なまった体には少々キツイのですが、とても気持ち良いです。
これは鹿の足跡でしょうか、山の中はこのような足跡がいっぱい。
足跡はいっぱいあっても、既に獲物は違う山に移動してしまったのか空振りすることも多く、この日も一日歩き回って1頭も獲れずあきらめかけていたところ、夕方近くになって穫れました。
猪が3頭と鹿が1頭。
写真の猪はかなり大きくて体重100㎏は優に超えていそうな超大物でした。
まるで「もののけ姫」に出てくる「おっことぬし」のよう。
猪は鹿に比べて警戒心が強くなかなか獲ることが難しいことに加えて食べて美味しいので、猟友会の人たちもテンション上がり気味です。
でも、ついさっきまで生きて走り回っていた生き物がこうして動かなくなってしまった姿を見るのはやっぱりとても複雑な気持ちになります。
特に鹿はかわいい…。
一方で鹿・猪によって毎年田畑を荒らされるという現実があり、お互い生きるためのせめぎあいと捉えるしかないのかなと思っています。
去年はよろこぶつち農園の田んぼもイノシシの被害に遭いましたし…。
この後、この猪と鹿は猟友会の人たちの見事なさばきぶりで解体されてお肉になり、参加した人たちで分け合いました。
私もたくさん分けて頂き、今晩は猪丼にしてありがたくいただきました。
猪肉は豚肉に似ていて食べやすく、それでいて野性味もあって美味しいです。
食べきれない分は冷凍庫へ。
山の恵みに感謝です。
ジビエを食べてみたい方、よろこぶつち農園に援農に来ると食べられますよ~。


2019年1月27日日曜日

厳冬期の山里


このところ、比較的暖かな日が続いていましたが、今朝はキンキンに冷えました。
軒下の温度計でマイナス9℃。
田んぼは雪にすっかり覆われいますが、雪はそれほどはなくて、10cmくらいでしょうか。
よく冷えた朝は雪の結晶が立ち、キラキラと光って本当にきれいです。
寒いのは辛いのですが、寒いが故の美しさがあり、また気持ちも引き締まります。
こんな時は、冬ごもりです。
注文をいただいている大豆やお米の発送作業をしたり、たまった事務仕事をしたりして過ごしています。
軒下の干し柿がそろそろ食べ頃になってきました。
味見をしてみると甘くて美味しい~。
犬のやっくんが欲しそうに眺めているのを尻目に、良さそうなものから順次紙袋に取り込んでいます。
しばらく置いて白い粉が吹いてきたらようやく皆様にお届けできる予定です。
お楽しみに。

2019年1月8日火曜日

あけましておめでとうございます。

新年あけましておめでとうございます。
今年は雪の少ない比較的暖かなお正月を迎えております。
年末は皆様からお餅や大豆などたくさんのご注文をいただきありがとうございました。
毎年年末は忙しさから年賀状を出すことが出来ず、多くの方に不義理をしておりますことどうかお許しください。
無事に発送作業を終えた後の30日には、毎年恒例のご近所さん集まってのお餅つきをし、お正月はついたお餅を持って愛知の実家に里帰りし、久しぶりにゆっくり過ごしました。
大晦日の帰省の道中、高速道路走行中に車の調子が悪くなりレッカーに来てもらうというハプニング(厄落とし?)もありましたが…。
長野の山里とは違って住宅や工場の間から登る初日の出もなかなか乙なものでした。

長野に戻って、昨日は地域のどんど焼きの日。
お正月にそれぞれの家で飾っていたしめ縄や松飾を持ち寄って、竹や藁と共に「松巻き」をし、
夕方には盛大にお焚き上げして、新しい年が良い年あることを祈りました。
寒さも吹き飛ばすほどの火の勢いでした。
最後に残った熾きでおもちを焼いて食べ一年無病息災で過ごせることを祈りました。

信州の山里の自然の恵みと多くの方々とのご縁のお蔭で、自然栽培でのお米作りも7年目を迎えました。
多くの方に喜んでいただけるよう、自然と調和したお米作りにさらに精進して参りたいと思います。
新しい年が平和で実り多い年でありますように。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


2018年11月21日水曜日

干し柿作り

今年は柿が豊作です。
借りている畑の土手に生えている渋柿の木に柿の実が鈴なりです。
少し時期が遅くなってしまいましたが、せっせと取って夜な夜な柿の皮をむいて干し柿作り。
軒下に吊るして見事な柿すだれが出来上がりました。
昨年は不作で干し柿が作れなかったのでうれしい限り。
美味しい干し柿になりますように。
年明け1月頃には食べられるかな?
美味しく出来上がったら販売もする予定にしておりますのでお楽しみに。

2018年9月8日土曜日

台風が過ぎて

先日の台風21号は、当地でもかなりの風が吹きました。
あちらこちらで木が倒れたり枝が折れたり停電したり。
稲は田んぼによってばらつきはあるものの、おおむね少しなびいたくらいで済みました。
でも、同じ田んぼでも場所によっては写真のように完全に倒れてしまったところもあります。
一般的には養分過多が原因で倒れるということが良くありますが、今回はそれが原因ではないようです。
同じ田んぼの中でもどちらかというと深くて常に深水管理になってしまったような部分が倒れる傾向が強いような印象です。
逆に全然なびきもせずすくっと立っている田んぼもあります。
初期生育が良く除草を早めに切り上げて、7月に軽くでも中干しをすることが出来た田んぼは根をしっかり張ることが出来たのか、なびきもせずしっかりと立っています。
倒伏防止のためにも、田んぼはなるべく平らにして、稲が初期から元気で、草がおとなしい田んぼを作り、7月に軽く中干しすることが出来るような栽培管理を目指したいと思います。

天気は台風一過も束の間、秋の長雨に突入してしまったようです。
天気予報でもしばらく雨続きの予報です。
9月の末くらいから稲刈りを始める予定なのですが、この調子だと田んぼが乾かず、ぬかるんで稲刈りがとても大変になりそうな嫌な予感が…。
あわてて落水(田んぼの水を抜く)作業を始めました。
早く天気が回復して稲刈りまで秋晴れベースでいってほしいなと願うばかりです。

それにしても、今年の日本は豪雨、干ばつ、台風、地震、と災害が立て続けです。
被害に遭われた方には心からお見舞いを申し上げます。
これらの災害は自然が何かしらバランスをとろうとして引き起こされているような気がしてなりません。
今必要なことは、近隣国との対立や不安を煽り戦争の準備をしたり憲法を変えたりすることではなく、自然と調和した生き方、社会の在り方へと少しづつでもシフトしていくことではないかと思います。
先日の台風の時は我が家もまる24時間停電しました。
夜暗いのはランタンでしのげるし、ご飯はガスで料理できるし、お風呂は薪だし、何とかなるのですが、困ったのは冷蔵庫(冷凍庫)が動かないこと。
冷凍庫には頂いたり、自ら捌いたりした貴重なシカやイノシシの肉が沢山入っていて、ダメになってしまわないかと不安に。
お客様とのやり取りや情報収集・娯楽にインターネットが使えないのも不便です。
スマホでもできますが、バッテリーがすぐなくなっていきます。
お米の注文をいただいた時に籾摺り機や選別機を使えないのもつらい。
随分と電気に依存しているなあと改めて実感しました。
停電時は自家発電機でしのぐというのもありですが、もっと進んで外部電源に頼らない、太陽光や小水力などで電気の自立をするオフグリッドという方向はやはり魅力的で、いつかは実現させたいものです。

2018年8月24日金曜日

猛暑復活、でも冬支度

立秋からお盆にかけて秋を感じるくらい涼しくなったのですが、その後再び猛暑が戻って来ました。
日中はうだるような暑さです。
今日は台風20号の名残か雲が多く、吹き返しの風が強くて比較的過ごしやすかったです。
田んぼのササニシキは穂が出揃い、こうべを垂れてきました。
水管理は常に湛水状態ではなく、徐々に水が引いた状態と湛水状態を繰り返す間断灌水にしています。
大干ばつで一時はどうなるかと思った大豆畑も、必死で灌水したのとその後の雨のお蔭でぐいぐい追い付いてきました。
後から補植した部分と、灌水できなかった畑ははやはり厳しいですが…。
草も勢いよく伸びてきたので管理機でもう一度中耕除草しました。
でも作業のタイミングが遅く、草が伸びすぎていて株間の草は残ってしまいます。
最後は手で除草するしかなさそうです…。
大豆の花が花盛りです。
青色のかわいい花が咲きます。
無事に受粉してしっかりと実って下さいよ~。
遅まきながら冬に向けて薪作りもしています。
冬までにしっかり乾いていなくてはならないので、本来なら春くらいまでにやっておきたい作業ですが、春から初夏は農作業が忙しくてできませんでした。
今ごろになって、暑い中汗かきながらやっています…。
原木は家の裏山で倒したものや、近所で倒した木をいただいてきたものです。
ナラ、クルミ、クリ、ケヤキなど。
斧での薪割りは、普段とは違う体の使い方をするのでとても良い運動になりますが、大きな節のあるものは斧ではなかなか割れず、友人宅の薪割り機を借りることも。
どんな節だらけの木でもバリバリ割ってしまう薪割り機、欲しくなってしまいます…。
薪小屋に薪が積み上がった光景は本当に豊かな気持ちになります。
でもまだ信州の長く厳しい冬を越すには足りません。
もう一息頑張らないと、です。




2018年5月26日土曜日

醤油搾り、修学旅行生の受け入れ

田植えの準備に忙しい農繁期ですが、先日合間をぬって醤油搾りをしました。
昨年の春に自家産の大豆と小麦から醤油麹を起こして「もろみ」に仕込んだものです。
https://yorokobutsuchi.blogspot.jp/2017/04/blog-post_21.html
醤油搾りには専用の道具と経験が必要で、近所に住む搾り師さんに来て搾っていただきました。
作った麹を分けて一緒にもろみを仕込んだ醤油仲間と搾りました。
一年寝かせたもろみにお湯を加えてちょうど良い濃さにしてから、木で作られた「フネ」で搾ります。
琥珀色の搾りたての醤油が出てきました!
味見してみると何とも言えない香りとうまみです。
この後、1週間ほど静置してオリ引きしてから瓶詰めして完成です。
自家産の材料で醤油が自給できるというのは幸せなことです。

嬉しい反面、課題も判明。
同じ醤油麹から仕込んだのに、一緒に仕込んだ仲間の醤油に比べると自分の醤油は塩味が立っていて旨味香りに少し欠けるのです。
心当たりはあって、夏の温度不足と天地返し不足です。
従来、醤油もろみは蔵の中など温度のなるべく上がらない所に保管して毎日混ぜるというのが一般的な方法でしたが、私たちは今回来ていただいた搾り師さんの方法、なるべく温度をかけて発酵を促し、毎日混ぜるのではなく月に一回ほど天地返しをするという方法でやっています。
温度をかけるには日向に置くだけではなく、小型のビニールハウスなどで覆って積極的に温度をかける方が発酵が進み良いもろみになるのですが、忙しさにかまけてそこまでできず日向に置くだけになってしまったこと、天地返しも忙しい時はついついまめに出来なかったなあと反省。
手を抜いた分、しっかりと結果に出てしまいました。
それも含めてマイ醤油、しっかり味わいたいと思います。

農繁期ですが、同時並行で修学旅行生の体験宿泊の受け入れもやっております。
主に大阪方面の中学校が多いのですが、都会の子供たちが我が家に来て信州の山里での自給的な暮らしを体験していきます。
畑仕事をしたり、一緒に山菜を取りに行ったり。
薪割りをしたり、
お風呂は薪風呂を沸かしたり、
夜は囲炉裏でシカ肉のバーベキューをしたりします。
冬に近所の山で獲れたシカ肉を冷凍しておいたものを放出です。
https://yorokobutsuchi.blogspot.jp/2018/02/blog-post.html
目の前で激しい肉の争奪戦が繰り広げられます。
でも、何よりお米がとても美味しいと何杯もおかわりしてくれるのがお米農家としては嬉しいです。
都会で暮らす子供たちが、こんな暮らしもあるんだなと何か感じてくれたらいいですね。
こちらも子供たちから元気をもらっています。
ササニシキの苗は今のところ順調で、3~4葉くらいになりました。
もう一息大きくなってほしいところ…。
あと1週間ほどでいよいよ田植えです。
代かき、畦草刈り、動物よけの電気柵の設置などなど、準備を急がなくては…。


2018年3月20日火曜日

種子法廃止とTPP、今そこにある危機

よろこぶつち農園ではお米や大豆の種は買うことはなく、元々知り合いから分けていただいた種を毎年大事に自家採種して使っています。
でも世の中は大きく変わろうとしているようです。
先日、松代で行われた種子法廃止についての講演会に参加してきました。
「種子法」とは、米・麦・大豆など主要農作物の種子を国・都道府県が責任をもって維持・供給することを定めた法律で、公的な予算の下で各都道府県で地域にあった多様な品種が開発され、農家は公共の種として安くその種を買うことが出来、またその種をもとに自家採種をすることができました。
コシヒカリや、ササニシキ、あきたこまちなど数々のお米の品種はこの制度の下で育成されてきた歴史があり、よろこぶつち農園では直接種を買っているわけではありませんが、ササニシキを栽培していますので恩恵を受けているわけです。
しかし、政府は「民間企業の参入を阻害している」として、十分な審議も説明もないままこの3月をもって種子法を廃止してしまいました。

そのことが私たちの暮らしや日本の農業にどんな影響をもたらすのか、印象に残った点を書き留めたいと思います。
まず、種子法廃止はTPP協定の発効に向けた国内法整備の一環だということです。
TPPは基本的にあらゆる分野で規制を撤廃してグローバル企業が自由に活動できるようにすることが原則となっています。
つまり、モンサントやモンサントとタイアップしている住友化学など種子の分野のグローバル企業が参入してくることは確実で、これまであった公共の種は法的・予算的根拠を失うため徐々に姿を消し、私企業による種にとってかわられていく可能性が高いということです。
事実、種子法廃止に伴う農水省の通達や、「農業競争力強化支援法」で都道府県はいずれは今まで培ってきた種子やその育成のノウハウなどを民間企業に提供することと明記されています。
これまで国民の税金で育成してきた種やそのノウハウを有償なのか無料なのかどうかわかりませんがグローバル企業に提供するってどうなの?という疑問が…。

TPP協定が発効し、公共の種が姿を消し民間企業が種を握ることによって心配されることとして、まず種の価格が大幅に上がることが予想されています。
また、これまで各地域で育成されてきた多様な品種が採算が合わないものを中心に淘汰されてしまうであろうこと。
そして、今のところ日本では遺伝子組み換えの稲や大豆は栽培されていませんが、近い将来一般的に栽培されるようになる可能性も高いです。
既にモンサントは遺伝子組み換えの稲を日本国内で試験栽培していて、承認されるのを待っている状態だそうです。
また種子が企業の所有物であり特許物ということになり、農家による自家採種という行為もできなくなる可能性もあります。
みんなの種から私企業の種へ、何とも窮屈な世界です。

それにしてもTPP協定については他にも気になることがいっぱい。
「自由貿易」を錦の御旗に農や食の安全を守るための規制やルールが撤廃されてしまうことになりそうです。
既に日本には遺伝子組み換え食品が輸入され様々な加工食品に使用されているのですが、さらに多くの遺伝子組み換え食品が大量に輸入されるようになりそうです。
そして遺伝子組み換え表示や国産表示、産地表示をすることも制限されてしまう可能性もあるとのこと。
米韓FTAで先行する韓国では地産地消の学校給食の取り組みなども出来なくなっているそうです。
また、既にTPP発効に先立って残留農薬の規制値も大幅に緩和されていて、特にグリサホート(除草剤)の残留基準値の緩和ぶりは異常です。
遺伝子組み換え技術と除草剤はセットになっているということもありますが、近年アメリカでは遺伝子組み換えでない小麦畑に収穫前に除草剤を散布して枯らして乾燥させ、コンバインで収穫するという方法が広がっていて、それに対応したものではと言われています。
その小麦がパンやめん、お菓子などの原材料として入って来るのかと思うとぞっとします。
遺伝子組み換え食品や農薬残留した食品が大量に入ってくるという時代になりそうです。

一方、アメリカやヨーロッパでは遺伝子組み換え食品や農薬が健康を害することが医学界も含めて広く知られるようになり、消費者の危機意識も高まっているそうです。
私も具体的なメカニズムは初めて知ったのですが、遺伝子組み換えコーンはそれを食べた虫の腸を破壊することで虫を殺す殺虫作用があるのですが、虫だけでなく人間を含む哺乳類の腸にも大きなダメージを与えることが分かってきたそうです。
また、グリサホート(除草剤)は植物がアミノ酸を作る経路を破壊することで草を枯らすので人間を含む哺乳類には安全であるとメーカーは主張して来ましたが、哺乳類の腸内に入ると植物と同じアミノ酸経路を持つ腸内細菌を殺してしまうことが判明。
消化吸収機能や免疫機能をつかさどる腸や腸内細菌がダメージを受けることで各種ガン、糖尿病、自閉症や自己免疫疾患に生殖障害など様々な病気を引き起こすことが分かってきたそうです。
ちなみにグリサホート(除草剤)は日本ではラウンドアップなどの商品名でホームセンターで当たり前のように売られていて、時期になるとあちこちで草が茶色く枯れています…(涙)。

ヨーロッパでは世論の強い力でグリサホートやネオニコ農薬の規制が始まっています。
アメリカでは子育て世代のお母さんたちを中心に消費者運動が盛り上がり、NonGMO(遺伝子組み換えでない)食品やオーガニック食品の需要が高まり、スーパーに行けば当たり前のように売られているとのこと。
それはとても喜ばしいことなのですが、行き場を失った遺伝子組み換え食品がTPPをてこに日本に流れ込んでくるのではと懸念されています。
それを押し返すことが出来るかどうかは私たち日本の消費者にかかっていますが、現状ではマスメディアでの報道も少なく、医学界も無関心、状況は厳しいと言わざるをえません。

希望としては種子法廃止を懸念する声が農業関係者を中心にあり、新潟県など一部の自治体でこれまでどおり公共の種子を維持していくことが条例として可決され、ほかの自治体にも広がる動きがあるということです。

様々な問題があるTPP協定、個人で防衛できることにも限界があります。
今回の講演会も大きな会場に立ち見が出るほどたくさんの人が集まっていました。
私個人でできることは自然栽培のお米や大豆をきちんと生産して少しでも多くの方に提供していくこと、縁ある人に伝えていくことしかありませんが、少しでも多くの人が事実を知ってヨーロッパやアメリカのような大きな動きにつながっていってほしいなと思います。