田んぼ仕事の第2弾、お米の種蒔きに向けて種籾の選別と温湯消毒をしました。
先ずは昨年秋に種取した種籾を、古い餅つき機を使って籾についているノギや軸を取り除き、
(ノギや軸があると種蒔きの時にうまく蒔けないため)
それを米選機(2.2㎜の網)に通して小粒な籾を落として大粒のものを選びます。
さらに濃い塩水で浮いた籾を除去して沈んだ重くて充実した籾を選別します(塩水選)。
20%以上の濃い塩水なのでかなりの塩を使います。
今回は40ℓの水に対して約9㎏の塩を使いました。
塩水選を終えたら直ぐに、あらかじめ60℃に沸かしておいたお風呂に7~8分浸して温湯消毒します。
60℃のお湯は手を入れていられないほどの熱さで大丈夫かなと不安になるほど。
温湯消毒をすることで農薬を使わずに種籾由来の病気を防ぐことができるのですが、時間や温度が足りないと十分な殺菌効果が得られず、過ぎれば種籾が煮えて発芽不良を起こしてしまう恐れもあり、時計と温度計とにらめっこしながらかなりの緊張感です。
慣行農法では一般的に農薬を使って種子消毒をします。
このまま種蒔きまで約1週間ほど時々水を換えながら浸しておきます。
昨今のコロナウィルスの感染拡大のこともあって、人とお米という違いはあるものの、菌やウィルス・病気というものにどう向き合うのかという難しい命題についていろいろと考えさせられます。
菌やウィルスは自然界に常に無数に存在するもので、自然界はそのバランスの上に成り立っていて、お米も人間もその中で生かされているとも言えます。。
でも、何らかのバランスが崩れた時に特定の菌やウィルスが病気という形で問題になってくる存在になるわけですが、自然栽培を志す者としては農薬で排除したり殺菌することで対処するのではなく、稲が本来持つ生命力が最大限発揮され健康な稲に育つよう環境(バランス)を整えることに主眼を置きます。
それでも、いつもそれが完璧にできる訳ではないですし、特に天候不順など悪条件が重なれば病気が出てしまうこともあります。
昨年は7月の長雨で一部の田んぼでいもち病が発生し、あれこれ対症療法(もちろん農薬を使わないという前提ですが)に奔走しました。
今回の種籾の温湯消毒も農薬は使わないものの、殺菌という手段を使っていますね。
基本や理念を大事にしつつも一筋縄ではいかない難しい命題です。
人間と病気の関係も基本的には、問題となる菌やウィルスを過剰に恐れて身の回りを殺菌消毒をしまくる方向よりは、私たちの身の回りや体内の菌やウィルスの助けを借りながら、私たち自身の免疫力・生命力を高めることにフォーカスして対処していく方がより良い方向だと思います。
でも一方で、誰もがいつもそれを完璧にできる訳ではありませんし、高齢の方や持病を抱える方などなかなかそれが難しい方もいます。
また気になるのは、ブラジルアマゾンの熱帯林で伝統的な暮らしを守る先住民部族の間でも、今回新型コロナの感染が拡大し多くの犠牲者が出ているという報道があります。
彼らは1970年代にも白人が持ち込んだ感染症で大きな被害を受けたという過去もあるようです。
さらに過去をさかのぼれば、1500年代にスペイン・ポルトガルの征服者たちが持ち込んだ感染症でインカ・アステカなどなどの中南米の先住民たちは壊滅的な被害を受けた歴史があります。
たとえ文明と離れその土地の自然、菌やウィルスと調和した暮らしをしていても、これまで接したことのない未知の菌やウィルスに対して人体は短期的にはなす術を持たないのかもしれません。
長期的に見ればやがては耐性を獲得していくことになるのでしょうが、多くの犠牲を伴ってしまうことになります…。
なかなか一筋縄では答えの出ない難しい命題だなと思います。