北アルプスを望む天空の棚田で、自然栽培(無肥料無農薬)でお米、大豆などを栽培、販売しています。

2021年6月13日日曜日

田んぼの除草シーズン始まりました。

 

お田植えから1週間が過ぎて、ササニシキの苗たちも葉色を濃くして成長を始めています。

草たちもやっぱりしっかりと発芽してきたので、1回目の除草作業をして回りました。

このところの暑さで、田んぼの水はお風呂のように温かくて苗たちも気持ち良さそう。

ジブリ映画に出てきそうなフォルムの除草機を押してひたすら田んぼを歩きます。

コナギやホタルイなどの小さな草たちがたくさん浮いてきました。

草の生えない田んぼを目指して早期湛水をしたりしているのですが、なかなか草の生えない田んぼはなかなか実現できません…。

この除草機は上手くできれば株間の草も除草できる優れものです。
でも、スクリューが苗の両側を泥をかき上げながら回って除草するのですが、このスクリューをどのくらいの深さでどのくらい苗に寄せるか、設定調整するのが難しい。
苗にきつく寄せるほど草は良く取れますが、やり過ぎると苗の根も傷めてしまうし下手をすると苗ごと抜けてしまうことも。
苗を傷めるのが怖くて緩く設定すると株周りの草がけっこう残ってしまう。
田んぼの深さなどの状況によってスクリューの爪の入り具合が変わってくるので除草しながらマメに設定を調整し直す必要があります。
また、とにかく草が小さいうちに除草機をかけることも大事。
今年は6月中に1週間ごとに除草機を入れることを目指します。
10枚の田んぼを一通り回るのに4~5日はかかってしまうので、ほぼ毎日除草機を押す日々になりそうです。
合間に大豆の種蒔きや麦の収穫に、あちこち草刈りもしなくてはならないし、目が回りそう~。
機械を止めると、たくさんの田んぼの生き物たちに癒されます。
写真の緑色の点に見えるものはホウネンエビ。
写真では分かり難いですが、小さな目と緑色のヒレみたいなものを動かしながら泳ぐ様子はとてもかわいいのです。
他にもオタマジャクシ、コオイムシ、ガムシ、アメンボ、イトミミズ、そしてあまりうれしくないイネミズゾウムシなど。
機械作業をしているとついつい作業に夢中になってしまうのですが、自然を感じる余裕を忘れずにいたいものです。
畑ではスペルト小麦が出穂・開花しています。
スペルト小麦は晩生なので収穫は7月中旬頃の予定です。
田んぼの水面に映る夕日の美しさに思わずパチリ。



2021年6月4日金曜日

お田植え終了!

 

昨日、無事に今年のお田植えを終えることができました。

6月1日、気持ち良く晴れてアルプスも見守る中スタートしました。

初日はいつも、上手く植えられるかどうかのドキドキした緊張感と、こうして田植えが始められることに対する感謝の気持ちがないまぜになった高揚感があります。


田植えの3日前には最後の代かき(植え代)をして草を浮かせ、風で吹き寄せられた草たちを熊手で出来るだけ除去しておきます。
ホタルイやコナギなどがいっぱい、これで今後の除草作業が楽になるはずなのですが、今年の草たちの勢いはどうなるでしょうか?
苗は、前年に苗代に周辺の刈った草を少し入れただけのほぼ無肥料で、そこそこ良い苗になってくれました。
4~4.5葉で丈も15㎝以上、ただ、欲を言えばもう少しがっちりとして根の張りが良い苗に育てたい…。
田植えは、今後の草対策を考えるとなるべく水を張ったまま田植えをしたいのですが、この状態では少し水が多くて、田植え機の速度を上げるとがうまく苗を植えられずに転び苗になってしまう苗が多発したため、速度を上げずにゆっくりとスタート。
次の田んぼからは効率重視で思い切って田面が露出するくらいかなり水を落として植えることで、かなり転び苗は改善しましたが、完全にはなくなりません。
水尻から水を落とすと、既にたくさんいる水の生き物たちも流れてしまうのもあまり気持ち良くはありません…。
転び苗になってしまうのは植える時の水の多さだけでなく、ポット苗田植え機の特性上、苗の根の張りの弱さも関係していそう。
床土に肥料を使えば根の張りの良い苗を作ることは出来るのでしょうが、そこは自然栽培、無肥料でいかに根の張りの良い苗を育てることが出来るかが来年以降の課題です。
植え終わったら再び水を入れます。
大小合わせて10枚の田んぼ、約7反5畝の田植えを予定どおり3日かけて終えることが出来ました。
苗たちがすくすくと健康に育つこと、これからの天候が順調であることを願うばかりです。
今日は雨の一日で、お待たせしていたお米の注文の籾摺り発送作業を済ませてから、少し体を休めました。
植えたばかりの田んぼの苗たちも雨を喜んでいるようです。
ホッとする間もなく、明日からは各田んぼの転び苗になってしまってうまく植えられなかった所を補植して回り、それが終われば1回目の除草作業が始まります。
怒涛の農繁期が続きます~。


2021年5月28日金曜日

もうじき田植え、準備を進めてます。



 5月中旬という異例の早い時期での梅雨入りで雨の多い日が続いています。

来週6月初旬の田植えに向けて準備の作業に追われています。

今年も田植えの約1か月前から水を入れて代かき・湛水する早期湛水です。

山が淡いもえぎ色に染まる5月の上旬に1回目の代かき(荒代)をし、


荒代の10日後くらいに、ホタルイなど草がポツポツで始めたので2回目の代かき(中代)をして、浮いた草を熊手などで出来るだけ除去します。
代かきの際に、トラクターで高い部分の泥を低い方に引っ張ってなるべく高低差を均すようにします。
1回目の代かき(荒代)だけでは水を入れてもすぐに抜けてしまう棚田も、中代をかくと格段に水持ちが良くなります。
代かきを終えた田んぼの水面に映るアルプスが美しいです。
田植えの直前にもう一度代かきをして(植え代)田植えをする予定です。

種蒔き後の4月末~5月初旬の低温で生育の遅れていた苗たちですが、最近になってぐいぐいと追い付いてきました。
現在、3.5葉~4葉くらい、丈は13~15㎝くらい、なんとか来週の田植えに間に合いそうです。
例年だと、この時期(育苗後期)になると葉っぱが黄色くなって生育が止まってしまって気を揉むことが良くあるのですが、今年は大丈夫そうです。
いつも秋と春先に苗代の予定地に米ぬかを撒いてすき込むのですが、有機農業の大先輩から、春先にすき込んだ米ぬかは分解が間に合わずに稲の根の生育に悪い作用を及ぼすという話を聞いて止めてみたのですが、どうやらそれが当りだったようです。
秋の米ぬかもやらず、夏から秋に周辺の刈った草を少し入れただけで、ほぼ無肥料での育苗となりました。
毎年が試行錯誤の連続です。
田植えの前に田んぼの畦草刈りも進めています。
中山間地の棚田は田んぼよりも土手の方が広かったりして草刈り面積がとにかく広いのです(泣)。
斜面も刈れる自走式草刈り機(スパイダーモア)が頼りになる相棒です。
今年は5月の気温があまり上がらなかったせいか草の勢いが例年よりもおとなしいような気がします。
畑では南部小麦が出穂開花しました。
雨上がりの朝、雲海の上にアルプスが顔を出しました。
いよいよ来週は田植えです。




2021年4月18日日曜日

お醤油搾り

 

先日、約一年前に醤油仲間と仕込んだ醤油のもろみを、搾り師さんに来てもらってお醤油に絞ってもらいました。

もろみは当農園で収穫した自然栽培の大豆・小麦を原料に醤油麹を起こしたものに塩と水を加えて仕込み、その後仲間と交代で天地返しをしながらお世話してきたものです。

https://yorokobutsuchi.blogspot.com/2020/03/blog-post.html

先ずは大釜でお湯を沸かして、そのお湯でもろみを溶いていきます。

もろみの出来の良し悪しで加えるお湯の量を加減する必要があるとのこと。

搾り師さんから良いもろみになりましたねとのお言葉をいただきホッとしました。

お湯で溶いたもろみを木製の「フネ」という道具で搾っていきます。

お醤油が出てきました!

この搾りたてのお醤油が香り高くて何とも言えずに美味しいのです。

自然栽培で大豆と小麦を育てるところから、醤油麹を起こし、もろみの仕込みを経て微生物たちの助けを借りてこうしてお醤油になって出てくるというのはとても感動的です。

搾ったお醤油は一度90℃近くまで加熱(火入れ)して不純物であるオリを分離し易くして、
容器に移して約1週間ほど静置してオリが沈むのを待ちます。
1週間後、オリが沈んだ頃に瓶詰をします。
大豆1斗(13㎏)、小麦1斗(14㎏)のもろみから一升瓶で約30本のお醤油が取れました。
仲間4人で分けて一人7本半(オリが混ざった分も含む)のお醤油です。
今年はもろみの仕込みをしなかった関係で来年の醤油搾りはないので、2年分の醤油になりますが、去年搾ったお醤油もまだ残っているし十分な量ではないでしょうか。
味噌と醤油という基本的で本物の調味料が十分にあるというのはとても豊かで安心感があります。
味噌と醤油という素晴らしい発酵食品を残してくれた先人たちに感謝です。
このお醤油は今のところ販売する予定はないのですが、よろこぶつち農園に援農に来て下さった方は、もれなく味見できます~。
美味しいよ。


2021年4月14日水曜日

種蒔きに向けて種籾の塩水選と温湯消毒、菌やウィルス・病気について

 田んぼ仕事の第2弾、お米の種蒔きに向けて種籾の選別と温湯消毒をしました。
先ずは昨年秋に種取した種籾を、古い餅つき機を使って籾についているノギや軸を取り除き、
(ノギや軸があると種蒔きの時にうまく蒔けないため)
それを米選機(2.2㎜の網)に通して小粒な籾を落として大粒のものを選びます。
さらに濃い塩水で浮いた籾を除去して沈んだ重くて充実した籾を選別します(塩水選)。
20%以上の濃い塩水なのでかなりの塩を使います。
今回は40ℓの水に対して約9㎏の塩を使いました。
塩水選を終えたら直ぐに、あらかじめ60℃に沸かしておいたお風呂に7~8分浸して温湯消毒します。
60℃のお湯は手を入れていられないほどの熱さで大丈夫かなと不安になるほど。
温湯消毒をすることで農薬を使わずに種籾由来の病気を防ぐことができるのですが、時間や温度が足りないと十分な殺菌効果が得られず、過ぎれば種籾が煮えて発芽不良を起こしてしまう恐れもあり、時計と温度計とにらめっこしながらかなりの緊張感です。
慣行農法では一般的に農薬を使って種子消毒をします。
最後は冷水に浸して無事に終了です。
このまま種蒔きまで約1週間ほど時々水を換えながら浸しておきます。

昨今のコロナウィルスの感染拡大のこともあって、人とお米という違いはあるものの、菌やウィルス・病気というものにどう向き合うのかという難しい命題についていろいろと考えさせられます。
菌やウィルスは自然界に常に無数に存在するもので、自然界はそのバランスの上に成り立っていて、お米も人間もその中で生かされているとも言えます。。
でも、何らかのバランスが崩れた時に特定の菌やウィルスが病気という形で問題になってくる存在になるわけですが、自然栽培を志す者としては農薬で排除したり殺菌することで対処するのではなく、稲が本来持つ生命力が最大限発揮され健康な稲に育つよう環境(バランス)を整えることに主眼を置きます。
それでも、いつもそれが完璧にできる訳ではないですし、特に天候不順など悪条件が重なれば病気が出てしまうこともあります。
昨年は7月の長雨で一部の田んぼでいもち病が発生し、あれこれ対症療法(もちろん農薬を使わないという前提ですが)に奔走しました。
今回の種籾の温湯消毒も農薬は使わないものの、殺菌という手段を使っていますね。
基本や理念を大事にしつつも一筋縄ではいかない難しい命題です。

人間と病気の関係も基本的には、問題となる菌やウィルスを過剰に恐れて身の回りを殺菌消毒をしまくる方向よりは、私たちの身の回りや体内の菌やウィルスの助けを借りながら、私たち自身の免疫力・生命力を高めることにフォーカスして対処していく方がより良い方向だと思います。
でも一方で、誰もがいつもそれを完璧にできる訳ではありませんし、高齢の方や持病を抱える方などなかなかそれが難しい方もいます。
また気になるのは、ブラジルアマゾンの熱帯林で伝統的な暮らしを守る先住民部族の間でも、今回新型コロナの感染が拡大し多くの犠牲者が出ているという報道があります。
彼らは1970年代にも白人が持ち込んだ感染症で大きな被害を受けたという過去もあるようです。
さらに過去をさかのぼれば、1500年代にスペイン・ポルトガルの征服者たちが持ち込んだ感染症でインカ・アステカなどなどの中南米の先住民たちは壊滅的な被害を受けた歴史があります。
たとえ文明と離れその土地の自然、菌やウィルスと調和した暮らしをしていても、これまで接したことのない未知の菌やウィルスに対して人体は短期的にはなす術を持たないのかもしれません。
長期的に見ればやがては耐性を獲得していくことになるのでしょうが、多くの犠牲を伴ってしまうことになります…。
なかなか一筋縄では答えの出ない難しい命題だなと思います。








2021年4月7日水曜日

春の到来!田んぼ仕事始まりました。

 

このところの暖かさで信州の山里にも一斉に春がやって来ました。

春の遅い信州の山里では今梅が満開でようやく散り始め。


同時に山桜や近所の高遠桜が満開になり、ソメイヨシノや枝垂桜も咲き始めました。
例年よりもかなり早いです。
こちらは山に咲くコブシ。
水仙
レンギョウ
スペルト小麦も青々として上へ上へと伸び始めています。
数日前からは寒の戻りで朝は霜が降りるほどの冷え込みになり、日中も肌寒い気候に。
でもこれが本来の4月の気候ですね。
そして、いよいよ今年の田んぼ仕事が始まりました。
先ずは冬眠していた田んぼをトラクターで春起こしすることからスタートです。
今年は昨年秋に秋起こしをすることが出来たので、どのような変化が出てくるのか楽しみです。






2021年3月31日水曜日

3月は味噌作り月間

 

3月は毎年味噌作り月間。

近隣のお客さんと一緒に作る味噌の会、今年も合計3回行いました。

無事に我が家の大豆と麹が無事に旅立っていきました。

上の写真はストーブに羽釜を乗せて麹にするためのお米or大麦を蒸かしているところ。

今年は久しぶりに米麹だけではなくて大麦麹にもチャレンジしてみました。


上が大麦麹、下が米麹、どちらも良い麹になってくれました。
大麦の方が油断すると温度が上がりやすいので米麹よりも気を使わないといけない感じでした。
米麹味噌と麦麹味噌、好みによりますが、麦麹味噌の方が旨味が濃くて私は好きです。
ただし、大麦の玄麦は固い殻に覆われていて特殊な機械でないと精麦が出来ないのが難点。
少し離れた村の製粉所がその精麦機を持っているのでそこまで持って行って精麦してもらいます。
その製粉所は今では少なくなってしまった雑穀の調製などもやってくれる、この地域での貴重な存在です。
おじさん、少しでも長く続けて欲しいな。

朝から火を焚いて大豆を蒸かし、蒸けた大豆を昔ながらの道具で潰して、予め塩と混ぜた麹を合わせてそれぞれ瓶や桶に詰めていきます。
薪の火の力とそれぞれの手の常在菌の力も加わって、美味しいお味噌になります。
こんな時代だからこそ、自然栽培の大豆とお米・大麦で一年分の味噌を仕込むことはとても大きな安心感につながります。
近隣にお住まいで興味のある方、一緒にやりませんか?