北アルプスを望む天空の棚田で、自然栽培(無肥料無農薬)でお米、大豆などを栽培、販売しています。

2021年4月14日水曜日

種蒔きに向けて種籾の塩水選と温湯消毒、菌やウィルス・病気について

 田んぼ仕事の第2弾、お米の種蒔きに向けて種籾の選別と温湯消毒をしました。
先ずは昨年秋に種取した種籾を、古い餅つき機を使って籾についているノギや軸を取り除き、
(ノギや軸があると種蒔きの時にうまく蒔けないため)
それを米選機(2.2㎜の網)に通して小粒な籾を落として大粒のものを選びます。
さらに濃い塩水で浮いた籾を除去して沈んだ重くて充実した籾を選別します(塩水選)。
20%以上の濃い塩水なのでかなりの塩を使います。
今回は40ℓの水に対して約9㎏の塩を使いました。
塩水選を終えたら直ぐに、あらかじめ60℃に沸かしておいたお風呂に7~8分浸して温湯消毒します。
60℃のお湯は手を入れていられないほどの熱さで大丈夫かなと不安になるほど。
温湯消毒をすることで農薬を使わずに種籾由来の病気を防ぐことができるのですが、時間や温度が足りないと十分な殺菌効果が得られず、過ぎれば種籾が煮えて発芽不良を起こしてしまう恐れもあり、時計と温度計とにらめっこしながらかなりの緊張感です。
慣行農法では一般的に農薬を使って種子消毒をします。
最後は冷水に浸して無事に終了です。
このまま種蒔きまで約1週間ほど時々水を換えながら浸しておきます。

昨今のコロナウィルスの感染拡大のこともあって、人とお米という違いはあるものの、菌やウィルス・病気というものにどう向き合うのかという難しい命題についていろいろと考えさせられます。
菌やウィルスは自然界に常に無数に存在するもので、自然界はそのバランスの上に成り立っていて、お米も人間もその中で生かされているとも言えます。。
でも、何らかのバランスが崩れた時に特定の菌やウィルスが病気という形で問題になってくる存在になるわけですが、自然栽培を志す者としては農薬で排除したり殺菌することで対処するのではなく、稲が本来持つ生命力が最大限発揮され健康な稲に育つよう環境(バランス)を整えることに主眼を置きます。
それでも、いつもそれが完璧にできる訳ではないですし、特に天候不順など悪条件が重なれば病気が出てしまうこともあります。
昨年は7月の長雨で一部の田んぼでいもち病が発生し、あれこれ対症療法(もちろん農薬を使わないという前提ですが)に奔走しました。
今回の種籾の温湯消毒も農薬は使わないものの、殺菌という手段を使っていますね。
基本や理念を大事にしつつも一筋縄ではいかない難しい命題です。

人間と病気の関係も基本的には、問題となる菌やウィルスを過剰に恐れて身の回りを殺菌消毒をしまくる方向よりは、私たちの身の回りや体内の菌やウィルスの助けを借りながら、私たち自身の免疫力・生命力を高めることにフォーカスして対処していく方がより良い方向だと思います。
でも一方で、誰もがいつもそれを完璧にできる訳ではありませんし、高齢の方や持病を抱える方などなかなかそれが難しい方もいます。
また気になるのは、ブラジルアマゾンの熱帯林で伝統的な暮らしを守る先住民部族の間でも、今回新型コロナの感染が拡大し多くの犠牲者が出ているという報道があります。
彼らは1970年代にも白人が持ち込んだ感染症で大きな被害を受けたという過去もあるようです。
さらに過去をさかのぼれば、1500年代にスペイン・ポルトガルの征服者たちが持ち込んだ感染症でインカ・アステカなどなどの中南米の先住民たちは壊滅的な被害を受けた歴史があります。
たとえ文明と離れその土地の自然、菌やウィルスと調和した暮らしをしていても、これまで接したことのない未知の菌やウィルスに対して人体は短期的にはなす術を持たないのかもしれません。
長期的に見ればやがては耐性を獲得していくことになるのでしょうが、多くの犠牲を伴ってしまうことになります…。
なかなか一筋縄では答えの出ない難しい命題だなと思います。








2021年4月7日水曜日

春の到来!田んぼ仕事始まりました。

 

このところの暖かさで信州の山里にも一斉に春がやって来ました。

春の遅い信州の山里では今梅が満開でようやく散り始め。


同時に山桜や近所の高遠桜が満開になり、ソメイヨシノや枝垂桜も咲き始めました。
例年よりもかなり早いです。
こちらは山に咲くコブシ。
水仙
レンギョウ
スペルト小麦も青々として上へ上へと伸び始めています。
数日前からは寒の戻りで朝は霜が降りるほどの冷え込みになり、日中も肌寒い気候に。
でもこれが本来の4月の気候ですね。
そして、いよいよ今年の田んぼ仕事が始まりました。
先ずは冬眠していた田んぼをトラクターで春起こしすることからスタートです。
今年は昨年秋に秋起こしをすることが出来たので、どのような変化が出てくるのか楽しみです。






2021年3月31日水曜日

3月は味噌作り月間

 

3月は毎年味噌作り月間。

近隣のお客さんと一緒に作る味噌の会、今年も合計3回行いました。

無事に我が家の大豆と麹が無事に旅立っていきました。

上の写真はストーブに羽釜を乗せて麹にするためのお米or大麦を蒸かしているところ。

今年は久しぶりに米麹だけではなくて大麦麹にもチャレンジしてみました。


上が大麦麹、下が米麹、どちらも良い麹になってくれました。
大麦の方が油断すると温度が上がりやすいので米麹よりも気を使わないといけない感じでした。
米麹味噌と麦麹味噌、好みによりますが、麦麹味噌の方が旨味が濃くて私は好きです。
ただし、大麦の玄麦は固い殻に覆われていて特殊な機械でないと精麦が出来ないのが難点。
少し離れた村の製粉所がその精麦機を持っているのでそこまで持って行って精麦してもらいます。
その製粉所は今では少なくなってしまった雑穀の調製などもやってくれる、この地域での貴重な存在です。
おじさん、少しでも長く続けて欲しいな。

朝から火を焚いて大豆を蒸かし、蒸けた大豆を昔ながらの道具で潰して、予め塩と混ぜた麹を合わせてそれぞれ瓶や桶に詰めていきます。
薪の火の力とそれぞれの手の常在菌の力も加わって、美味しいお味噌になります。
こんな時代だからこそ、自然栽培の大豆とお米・大麦で一年分の味噌を仕込むことはとても大きな安心感につながります。
近隣にお住まいで興味のある方、一緒にやりませんか?


2021年2月2日火曜日

干し柿とうどん(乾麺)の販売を始めました!

 

お待たせ致しました。

毎年恒例の干し柿とうどん(乾麺)の販売を始めました!

干し柿は、秋に近所の放任栽培の渋柿の実を取らせてもらい、一つ一つ皮をむいて軒下につるしただけの昔ながらの干し柿です。

お日様と風と信州の冬の寒さに当って、今年も美味しい干し柿になりました

市販の干し柿に一般的に施されている硫黄燻蒸をしていないので、見た目は黒ずんでいますが、柿のタンニン由来の干し柿本来の色です。

口に含むと広がる上品な自然の甘みをぜひご賞味下さい。

うどんは、昨年夏に収穫した南部小麦を製麺所に委託して乾麺に加工してもらいました。
原料の南部小麦はもちろん自然栽培(肥料農薬不使用)です。
委託した製麺所は栃木県の黒澤製麺所、無農薬の小麦だけを受け入れているこだわりの製麺所なので安心です。
完全な全粒粉ではありませんが、ふすまの部分も丁寧に挽き込んでいるので、見た目は茶色っぽいですが、小麦の香り高く味わい深いうどんです。

どちらも数に限りがありますが、ぜひご賞味下さい。
ネットショップよりお求めいただけます。

どうぞよろしくお願い申し上げます。






2021年1月4日月曜日

新年明けましておめでとうございます。

新年あけましておめでとうございます。

昨年も多くの方にお世話になりありがとうございました。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

信州の山里は雪景色のお正月を迎えております。

田んぼもすっかり雪の下で春まで冬眠です。


犬の散歩に出かけると、よく冷えた朝は雪の結晶が立って輝いています。
厳しくも凛とした空気に、気持ちが引き締まります。
雪が降ると雪かきなど大変なこともありますが、雪景色の美しさには本当に感動してしまいます。
田んぼにとっても冬の間雪に覆われていた方が稲の生育が良くなるという説もありますし、山に降った雪は雪解けとともに地下水に浸み込んで夏の間の田んぼの大切な水源になります。
あまりたくさん降るとやっぱり大変ですが…。
この冬は寒い冬になるという予報は今のところ当たっているようです。
今年のこの先の天候はどうなりますか、穏やかで順調であることを願うばかりです。

年末はお餅や大豆などのご注文をたくさん頂きありがとうございました!
おかげさまでお餅・大豆ともに完売御礼となりました。
12月はお餅と大豆のご注文の対応で忙しすぎてブログが更新できなかったので、当農園のお餅の加工工程について少し説明したいと思います。
上の写真は、一晩浸漬したもち米をロケットストーブに羽釜とセイロを載せて蒸かしているところです。
この蒸かし具合でお餅の出来が決まる大事な工程で、蒸かしが足りないと粒々が残ったあばた餅になってしまい、蒸かし過ぎると柔らかくてコシのないお餅になってしまいます。
だいたいの時間的な目安はあるのですが、特に玄米餅はベストタイミングを見極めるのはなかなか難しいです。
蒸かし上がったもち米を餅つき機2台体制で搗いていきます。
餅つき機は一般的な家庭用の餅つき機です。
本当は臼と杵で搗くとさらにコシのあるおいしいお餅になるのですが、さすがにそれは人手的にも体力的にも難しく、業務用の杵つき式餅つき機があると良いのですがとても高価なものになってしまいます…。
美味しいお餅のためにいつかは実現したいですね。
搗き上がったお餅は型にのして寒い部屋で一晩おいて翌日にご注文のお客様に発送しております。
たくさんのご注文ありがとうございました。

お正月は例年愛知県の実家に帰省するのが恒例なのですが、今年は諸々ありまして帰省はせずに長野の山里で新年を迎えました。
離れて暮らす息子が来てくれて、実家から送ってくれたおせちを一緒にいただきながら、それぞれ離れて暮らす両親と弟家族とリモート新年会をしたのですが意外と楽しかったです(笑)。
写真にはありませんが、地元の集落の神社にお参りして、今年の天候が順調でお米が健やかに育つこと、世界が平和であることを祈りました。

昨年は世界的にコロナ禍で大変な年になってしまいました。
様々な情報が飛び交い何が正しい情報なのか見極めることが難しく、悲しいことにコロナをめぐる考え方の違いで社会の分断も進んでしまったような気がします。
こんな時代だからこそ、大地に根を張った自然と調和した農、暮らし、生き方がますます大事になってくると改めて思いを強くしています。
私自身、真に自然と調和した農、暮らし、生き方とは何かということを改めて問い直さなければならないなと思っています。
そして、よろこぶつち農園は皆さんの自然と調和した暮らしのお手伝いが少しでもできればと思っております。
2021年もどうぞよろしくお願い申し上げます。



 

2020年11月30日月曜日

大豆の脱穀、干し柿作り

再び寒さが戻ってきて、朝は霜が降りたり氷が張ったりするほどの冷え込むようになりました。
先日、地元のJAから専用の脱穀機を借りてきて大豆の脱穀をしました。
この機械はハザ掛けして干していた大豆の株ごと突っ込むと大豆だけ出てくるという優れもの。
買うととても高価な機械なので借りられるのはありがたいことです。
莢やガラは風で飛ばすのですが、良い豆も一緒に飛ばしてしまってロスが出るのが少し悩ましいところですが…。
プリっとしたきれいな豆が出てきました。
これでまた味噌や醤油、納豆を仕込むことができます。
無肥料・無農薬でこんなにも豊かな恵みをもたらしてくれる自然に感謝です。
今年は種蒔き直後の7月の長雨で初期生育が悪くどうなることやらと心配しましたが、梅雨明け後の8月からぐいぐいと追い付いてくれてほぼ例年並みの生育となり、大豆の生命力の強さに感動しました。
ただ、作付面積を少し減らしたため収穫量はその分少なくなりそうです。
現状では虫食いやくず豆が混ざっているため、ここから選別機にかけて選別し、さらに仕上げに人の手による選別を経て皆様にもお届けする予定です。
12月上旬頃には販売を開始したいと思っております。
どうぞよろしくお願い致します。

話の順番が逆になってしまいましたが、大豆の脱穀に先立って干し柿を作りました。
軒下に柿すだれ、私の大好きな風景です。
この風景が見たくて毎年干し柿を作るようなものかもしれません。
干し柿が欲しいというお客様は多く、また近所には放置された渋柿の木もあるので、本当はもっとたくさん作りたいのですが、干し柿作りはとにかく手間と時間がかかるので一人ではこのくらいが精いっぱいかもしれません。
順調にいけば、年明け後1月下旬頃には食べ頃になり販売できると思います。
お楽しみに!

自給用の野菜畑では今年は大根が豊作でした。
朝晩の冷え込みで大根は甘みを増し美味しくなるのですが、この先さらに寒くなって地上に出た部分が度々凍ると、そこからスカスカになって痛んでくるため全部抜いて収穫し、
細いものを選んで、たくあん用に干しました。
軒下に干し柿と大根が並んだのを見ると本当に豊かな気持ちになります。
畑ではスペルト小麦が無事に発芽して少しづつ育っています。
鹿さん、食べに来ないでね!


 

2020年11月18日水曜日

大豆の収穫、田んぼの終い仕事(秋起こし)

11月に入り、晴れベースの安定した天気が続いています。

少し前までは、毎朝霜が降りたり氷が張るほどの冷え込みが続いていましたが日中は晴れて暖かくなる日が多く、ここ数日は朝の冷え込みも緩んで日中は汗ばむほどの暖かさです。

 もう1週間ほど前になってしまいましたが、大豆の収穫をしました。

今年は例年よりも大豆の登熟が遅く、なかなか収穫のタイミングが掴めずに気を揉みました。

例年よりも1週間ほど遅い収穫作業でした。

この日は味噌や醤油の仲間を中心に強力な助っ人たちが集まってくれました。
刈り払い機で刈り倒した大豆の株を、人海戦術でひたすら束ねて縛ってハザに掛けてゆきます。
皆様のおかげで、2枚で約1反強の畑の大豆の収穫を一日で終えることが出来ました。

莢がカラカラに乾いたら脱穀機を借りてきて脱穀する予定です。
手伝ってくれた皆様、ありがとうございました!
夜は囲炉裏を囲んでシシ鍋とどぶろくの収穫祭も楽しかったです。
大豆の収穫を終えた後は、冠雪のアルプスを眺めつつ田んぼの終い仕事をしています。
脱穀した後のワラを回収して田んぼの外に持ち出して積み、代わりに一年前に積んで朽ちかけた昨年のワラを田んぼに戻します。
昨年のワラはフォークを使って地道に田んぼに振り撒いて拡げていくのですが、朽ちかけたワラは水分をたっぷり含んでいて重く、かなりの重労働です。
収穫したばかりの新しいワラを持ち出さずに細断してすぐに田んぼに撒くという方法の方が一般的なのですが、新しいワラは分解するのに時間がかかり、翌年の田植え後の稲の生育を阻害してしまうという経験を何度かしたため、最近はこのような方法をとっています。
作業中に油断していたら、田面が緩い所で軽トラがはまって動けなくなってしまうというハプニングが発生(汗)。
トラクターで引っ張って何とか脱出出来ましたが本当にヒヤヒヤしました。
昨年のワラを拡げ終わったらトラクターで秋起こしです。
例年、秋の天気が安定しなくて田んぼが乾かなかったり、時間的にワラを片付けるだけで精一杯で冬になってしまったりで、秋起こしまでたどり着くことが出来なかったのですが、今年は好天に助けられて秋起こしをすることが出来ました。
本当はもっと気温の高い10月中に済ませた方が良いらしいのですが、このところ気温が高いので良しとしましょう。
秋起こしをすることで、田んぼに空気が入って稲株やワラの分解が進み、翌年の稲の生育が良くなったり草の勢いがおとなしくなったりすると言われているので、どんな変化があるのかとても楽しみです。
田んぼの表土の乾きもよくなって乾土効果も期待できそう。
週末金曜日には雨が降る予報なので、それまでに何とか終わらせたいです。

そうこうしているうちに1週間前に収穫した大豆の莢がはぜて実がこぼれ始めているのが気になるし、近所の渋柿も採り時で干し柿も作りたいしで、まだまだ忙しい秋が続きます。